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Mercuryで綺麗な絵が描きたい <お絵描きの技術Part2>

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理工総研 講師の加藤健太です。最近、娘が保育園で風邪のトレードにハマってしまって、3週間ぐらい鼻水が止まりません。私はアレルギー性鼻炎(流行の花粉症ではなく重度のハウスダウトアレルギーです)で基本的にいつでも鼻・喉が弱いので、風邪をもらってしまって大変です。風邪をひかない体づくりをするにはどうしたらいいか、ネットで検索をする日々です。

 

本日は、 <お絵描きの技術Part2>ということで、Mercuryの使い方メモです。(<お絵描きの技術Part1>では、3次元的なケムドローの描き方を説明しています。)

分子モデルを描く際、いくつか描画ソフトが存在しますが、私が推したいのは”Mercury”です。幅広い3次元データで描画が可能であり、お絵描きだけなら利用者登録するだけで無料で十分に使うことができます。

アプリ名:Mercury (https://www.ccdc.cam.ac.uk/solutions/software/mercury/)

使用料:基本無料 (課金すれば全ての機能が使える)

開発元: CCDC (the Cambridge Crystallographic Data Centre) (https://www.ccdc.cam.ac.uk)

ダウンロード元:利用者登録が必要 https://www.ccdc.cam.ac.uk/support-and-resources/Downloads/

できること: 結晶構造の描画、解析、性質理解(チュートリアルガイド

開ける元ファイル:Mercury binary crystal legacy files (.mry) Mercury compressed XML crystal files (.mryx) MOL files (.mol, .sd, .sdf, .mdl) Mol2 files (.mol2, .mol) PDB files (.pdb, .ent) Xmol files (.xyz) CIF files (.cif, .cmf) CSSR files (.cssr) SHELX files (.res, .ins)

 

Mercuryのいいところ

1. スタイルや質感がいくつか利用可能

2. 個々の原子や分子で、色やスタイルが指定可能

3. 透明な背景で画像が出せる

この3点に関して、ゆる~く解説していきます。

 

1. スタイルや質感がいくつか利用可能

 スタイル(Wireframe, Capped Sticks, Ball and Stick, Spacefill, Ellipsoid, Polyhedral)、質感(Standard Mercury, Shiny, Matt, Metallic, Iridescent)

 単結晶X線構造解析で使用されるORTEP(MercuryではEllipsoid)はもちろ、複数のスタイルが利用可能です。Spacefillは圧が強いですが、分子の立体障害などが見えやすくていいですね。さらに、Display > style から各々のスタイルの設定が細かく設定できるのも嬉しいですね。質感は、自身のセンスに自信がないので、デフォルトのStandard Mercury以外はほとんど使わない(使えない?)ですが、キラキラさせたりもできます。Metallicなんかは、分子表面が鏡面になり分子の他の部分が映り込みます!Iridescentに関しては、もうよくわかりません。きれいなんでしょうか?

 

2. 個々の原子や分子で、色やスタイルが指定可能

 下図 左は、炭素はEllipsoidで水素はCapped Sticksに、また、七員環の炭素だけ色を変えてみました。何を示したい分子モデルなのか?によりますが、自由度が高いので伝わりやすい絵が描けます(描けるはずです)。積層構造の理解や説明の際は、下図 右のように背景にあたる分子はWireframeで、中心にある注目したい分子だけEllipsoidでの表現がよく見る形ですかね。また、Show hydrogensのチェックボックスを外すと簡単に隠すことができます。さらに、原子分子の選択方法が複数あるのも魅力的です。Select by SMARTに[H]をいれれば、すべての水素原子選択できます、炭素は[C]ですね。分子全体はShiftを押しながらクリックすることで、選択できます。絶妙に嬉しい機能(ショートカットキー)は、command + I (アイ, invert)で選択している原子以外のすべての原子が選択できます!

3. 透明な背景で画像が出せる

 一枚絵が決まったら、File > POV-Ray Imageから画像の出力が可能です。このとき、 File FormatをPNGにするとBackgroundでTransparentが選択可能に。かっこいい背景を邪魔せずに、分子をそっとのせることが可能です!残念ながら個々の原子分子の質感は指定できませんが、複数枚の画像を重ねればできないこともないです。ちょっと気持ちが悪い絵になりそうなので、やったことはないですが、、、また、POV-Rayでコマ送りの画像を出力し、まとめられば、アニメーションにすることもできます!分子が回る憧れのスライド待ったなしです。

 

今回、私はMercuryのいいところをざっくり解説しましたが、他の描画アプリもどれか一つでも使うことができれば、論文(D論、修論、卒論など)や発表スライドがちょっとかっこよくできますね。センスがないのは、どうすればいいのか私にはわかりません。しかし、画像がない場合は描画アプリの使い方を一つ学ぶだけで解決するので、おすすめですよ!

 

 

*今回描画に用いたのはD3黒澤さんが筆頭著者の脱酸素変換による多重アリール化アルカン合成の論文内にあるテトラヒドロジベンゾ[7]アヌレンです。

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加藤健太

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