1,4-二官能基化を伴う環化反応:インダン・テトラリン合成

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Pd-Catalyzed Cyclization/1,4-Difunctionalization of Bromoarenes with Diazo Compounds Leading to Bicyclic Skeletons

Kato, H.; Fukuhara, Y.; Miyazaki, R.; Muto, K.; Yamaguchi, J.
Asian J. Org. Chem. 2023, accepted articles.
DOI: 10.1002/ajoc.202300548

パラジウム触媒存在下、炭素求核部位をもつブロモアレーンとジアゾ化合物を反応させると、芳香環上の1,4-二官能基化を伴う環化が進行し、置換インダンやテトラリンを合成できることを見いだした。これまでに見いだしたベンジルパラジウム触媒中間体の発生が鍵であり、芳香環の脱芳香族的な1,4-二官能基化の後に再芳香族化して生成物に至る。官能基耐性も優れており、芳香環上が高度に官能基化されたインダン・テトラリン類が合成できた。また、本手法を用いて複雑な三環式骨格形成もできた。

加藤通算4報目 (かな?)、福原の初論文、そして宮﨑の2報目。加藤が自身でみつけた反応を福原が泥臭くも収率をあげてくれました。その後、二人で主に基質一般性の調査や誘導体化などをやり遂げ、論文として形にすることができました。この二人が共同筆頭著者です。あれ?宮﨑は?彼は基本的に忍者なので目立ちませんが、Bpinがついた化合物を始め、いくつか難しそうな基質を使っても反応が進行することを示してくれました。本報告は加藤の前報(ChemSci2020)の脱芳香族的1,4-二官能基化を分子間にしたものですが、反応形式で眺めてみると世にも珍しい1,4-二官能基化を伴う環化反応、となります。合成的なハイライトとしては、環上ケトエステルを用いれば三環式骨格形成もできる点になるかと思います。天然物の形式合成にぶつけたかったのが本音ですが、良いタイミング(?)でAsian JOCからinviteを頂いたので、ここで論文投稿することにしました。査読もスムーズに進み、追加実験ゼロでよく評価していただきました。

うちの研究室で泥臭く実験できる三人衆のチームプレイです。特に最後の三環式化合物合成では収率の向上等で大苦戦しましたが、泥臭さでカバー。泥臭過ぎ&頑張り過ぎの姿は、論文SIのNMRスペクトルの純度を見るとわかるかと思います。今まで見た中で一番キレイかも。大変良く頑張ってくれました。
加藤、福原、そして宮﨑、おめでとう!

武藤 慶

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