脱カルボニル型シアノ化反応

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Decarbonylative Synthesis of Aryl Nitriles from Aromatic Esters and Organocyanides by a Nickel Catalyst
Iizumi, K.; Kurosawa, M. B.; Isshiki, R.; Muto, K.; Yamaguchi, J.
Synlett 2020, eFirst.
DOI10.1055/s-0040-1705943

ニッケル触媒の存在下でアミノアセトニトリルを用いた芳香族エステルの脱カルボニル型シアノ化反応を開発した。この反応の鍵は、チオフェンベースのジホスフィン配位子であるdcyptを用いることで、化学量論的な金属やハロゲンを含む化学廃棄物を発生させることなく、アリールニトリルを合成することが可能となった。ヘテロアレーンや医薬品分子を含む幅広い芳香族エステルをアリールニトリルに変換することができます。

飯泉くんの1報目。Synlettの「最近のニッケル触媒反応」(Cluster)への招待論文です。招待論文で昔嫌な思い出があり、もう出さないと決めていましたが、友達のRuben Martinのお誘いであったのでしかたなく投稿。夏に投稿してすぐにアクセプトされたのですが、ようやく日の目をみました。やっぱり論文は受理されたあとが速い、アメリカ化学会系がいいですね。

昔報告した、アレノール系の有機化合物とアミノニトリルを用いたニトリル化反応を、エステル(脱カルボニル型反応)へ適用したものです。昔はちょっと条件が違って進行しなかったんですが、種々検討の結果進行するようになりました。様々なニトリル化反応がありますが、モルホリンからつくったアミノニトリルは固体で使いやすいですし、まだなにかに使える可能性があります。おめでとう!

山口潤一郎

追記:この論文アクセプトさされてからオンラインで公開されるまで1ヶ月かかりました。それだけでもACSなどと比べて見劣りします。さらにゲンナリするのは、昨年(2020年)10月にオンライン公開されたのに、ページが付いたのはなんと2021年9月!11ヶ月かかりました。新型コロナで特集号であるクラスターの集まりが悪かったと理由を述べていますが、正直今の世の中ありえないですね。お友達のご依頼で断れないということで、誰も見やしないSynlettに出しましたが、ますます今後は出したくない論文誌の1つになりました。

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