パラジウム触媒を用いた脱ニトロ型 カップリング反応の開発

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Development of Pd-Catalyzed Denitrative Couplings

Asahara, K.; Kashihara, M.; Muto, K.; Nakao,  Y;* Yamaguchi, J.*

J. Synth. Org. Chem. Jpn. 2021, 79, 11–21. DOI: 10.5059/yukigoseikyokaishi.79.11

パラジウムやニッケルなどの遷移金属触媒によるハロアレーンと求核剤とのクロスカップリング反応は,その高い汎用性から医農薬や有機電子材料の合成など幅広い分野で用いられる。しかし,ハロアレーンの汎用的な合成法は単純芳香環から1) ニトロ化 2) 還元 3) ジアゾ化 4) Sandmeyer反応の4工程を要するため,クロスカップリングを利用する標的分子合成は多段階合成法となる(図1)。さらに,反応後に高環境負荷の含ハロゲン廃棄物の排出は避けられず,その除去が問題になることも少なくない。ここで,ハロアレーンの上流化合物であるニトロアレーンをクロスカップリングの求電子剤として用いることができれば,より効率的なプロセスの実現が期待できる。

2017年に我々(中尾グループ)はPd/BrettPhos触媒による脱ニトロ型カップリング反応の開発に成功した。本触媒系は,電子供与性置換基をもつニトロアレーンの変換にも有効であり,C–C, C–N,C–H結合形成反応に適用できる。本総合論文では,本成果の詳細について述べる。

 

キティ淺原の有機合成化学協会誌の総合論文です。この総合論文新型コロナによる緊急事態宣言下での課題として浅原くんにお願いしたものです。脱ニトロ型カップリング反応の先駆者である、京都大学の中尾教授にお願いして共著としていただきました。中尾研究室で脱ニトロ型カップリングに関わった柏原くんにも原稿をチェックしてもらい、半年の月日を経て2021年の1月号に公開されました。普通なら時間がなく絶対にかけませんが、この時期としてはぴったりの課題となりました。浅原君おめでとう!

山口潤一郎

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