植物概日時計制御分子の開発

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Development of Plant Circadian Clock Modulators
Saito, A. N.; Ota, E.; Nakamichi, N.; Yamaguchi, J.
Synth. Org. Chem. Jpn. 2023, 81, 718–730.
DOI: 10.5059/yukigoseikyokaishi.81.718

植物概日時計制御分子の開発およびその分子を用いた植物概日時計の機構解明研究についてまとめた。我々独自のスクリーニング法により植物概日時計制御分子を発見し、構造活性相関研究および標的同定のための分子プローブの創製を行なった。従来の遺伝学的手法では見つけられなかった時計タンパク質を発見し、植物概日時計に潜んでいた新たなメカニズムの提唱にもつながった。また、研究の過程で、強力なCKL阻害剤(AMI–331)、CDKC阻害剤(TT–361)も創出した。植物生理学分野に有機合成化学で切り込むことにより、新しいドアを開けたと自負している。現在、植物概日時計の機構解明研究はいまだ発展途上であり、今後もさらなる研究が不可欠である。本稿で紹介した研究成果が、植物概日時計関連因子の機構解明研究の発展の一助となれば幸いである。

うちの研究室初女性博士の斎藤の最後の論文です。有機合成化学協会誌に総合論文として報告しました。2013年からこの研究をはじめて10年。共同研究者の中道さんも特任准教授から教授になり、僕も移勤、教授になりました。移った先で4年生から植物時計研究を彼女が先導してくれました。途中からケムバイオの得意な太田くんにもテーマに参画してもらい、進めています。純粋有機合成化学と比べて時間がかかる研究ですがライフワークとして細々とやっています。もう少し拡大したいところですが、プレイヤーも現在一人になっていて、新しい化合物も少ないのでこれからどう展開してくかが微妙なところですが、世界に例が少ない非常にユニークな研究なのでなんとか続けていければと思います。

山口 潤一郎

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