ジアゾとホウ素をもつ試薬の開発

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Chloroacetyl boronate N-tosylhydrazone as a versatile synthetic building block
Ryuya Miyazaki, Kei Muto and Junichiro Yamaguchi
Chem. Commun. 2023, Accepted Manuscript
DOI: 10.1039/D3CC02086J

クロロ基、N-トシルヒドラゾン、ボロナートといった3つの反応性官能基からなる試薬クロロアセチルボロナート N-トシルヒドラゾンを開発した。本試薬は市販の化合物からシリカゲル精製を伴わず3工程で合成でき、安定な白色固体として取り扱うことができる。本試薬は、クロロ基の置換、N-トシルヒドラゾンのカップリング、ホウ素の変換など、各官能基を逐次的に変換できる。これら変換反応により、多置換アルケンやα-ボリルカルボニル、含ホウ素ヘテロ環など、分子の構造多様性を創出できることを実証した。

山口研の者こと、宮﨑くんの試薬合成の論文です。彼の一報目。完全に新規テーマで、コロナ禍の始まりとともに研究をスタートし、コロナの収束とともに論文化できました。B4時には今回の論文のプロトタイプを合成できましたが、溶解性の低さから変換できずお蔵入り。M1の10月までに改良版(第2世代)を作ることができましたが、合成が多工程過ぎてこれまたお蔵入り。2021年11月の研究会(彼の年会発表4ヶ月前)で今回のクロロメチル基をもつものを考案し、これが最終形になりました。試薬調製は3工程、カラム精製不要、安定な白色固体で得られます。二炭素上にクロロ、トシルヒドラゾン、ボロナートといった3つの反応性官能基をもちますが、逐次的にそれぞれ変換でき、多様な分子骨格を構築できることがわかりました。研究途中で類似論文が出てきたり、年会発表の4ヶ月前の方向チェンジなど、ボロボロになりながらも堅不抜に完成させた研究です。

ボロボロになっただけあって個人的には玄人好みのいい試薬になったと思います。ちょうど来ていたChem CommunのInviteに投稿し、査読者からも賛辞をいただいてすんなりアクセプト。僕としてもこれまでとは毛色が違う作品で、お気に入りです。ラボでの存在が希薄になりがちな宮﨑くんですが、耐強くストイックに頑張ってくれるため実は同時進行のテーマを他に3つも走らせていました。それも今年中に全部出せるかも?ラボでは目立たず、論文誌上で目立つ、そんな存在になるかもしれません(ホントはラボでも目立ってほしいですが)。おめでとう!

武藤 慶

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