九尾の狐?:9個異なるアリール基をもつデカアリールアントラセンの合成

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Synthesis of Decaarylanthracene with Nine Different Substituents

Asako, T.; Suzuki, S.; Tanaka, S.; Ota, E.; Yamaguchi, J.

J. Org. Chem. 2020, ASAP. DOI: 10.1021/acs.joc.0c02218

アリール化アセン類は、広いπ共役系に起因して有機半導体や蛍光色素としての応用が期待される。しかし、従来法で合成可能なアリール化アセン類は対称性が高いものに限られる。我々はテトラアリールチオフェンオキシドがマルチアリール化アセン類の前駆体(ジエン)として有用であることを見出した。すなわち種々のジエノフィルとの[4+2]付加環化反応を駆使し、チオフェンの環変換反応により様々なアリール化アセン類の合成を試みた。逐次的に2 度のベンザインを発生可能なダブルベンザイン前駆体を設計し、2 種類のテトラアリールチオフェンオキシドと付加環化反応することによって、デカアリールアントラセンの合成を達成した。

 ついにアントラセンに9つの異なるアリール基をいれる手法を開発することができました。すでに前任者の鈴木真くんが博士の最後の仕事としてつくってくれてはいましたが、最適化されておらず各種スペクトルなどのデータも足りない状態でした。そこを全アリール置換型ヘテロ芳香環の合成に注力してもらっていた浅子くん、ペンタアリールカルバゾールの田中くんにもう一度がんばってつくってもらって論文にしました。なかなか収率があがらず、苦労したのと最後の化合物のX線結晶構造解析ができず、ずっと論文にしてませんでしたが、万を持して投稿して、絶賛のもとにアクセプト。みんなこういう分子好きですよね。役には立たないが味がある。そんな分子をこれからもつくっていきたいなと思います。おめでとう!

山口潤一郎

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