LSD1選択的阻害剤をC-H活性化反応でつくる

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“C-H Activation Enables Rapid Structure-Activity Relationship Study of Arylcyclopropyl amines for Potent and Selective LSD1 Inhibitors”

Miyamura, S.; Araki, M; Ota, Y; Itoh, Y; Yasuda, S; Masada, M; Taniguchi, T; Sowa, Y; Sakai, T; Suzuki, T;* Itami, K*; Yamaguchi, J*

Org. Biomol. Chem.  2016, Advance Article DOI: 10.1039/C6OB01483F

リシン特異的脱メチル化酵素(LSD1)は、ヒストン中のリシンのメチル化体またはジメチル化体の脱メチル化を行う酵素である。本来人間がもつDNAの塩基配列に依存せず、後天的に遺伝子発現を制御する、いわゆるエピジェネティック制御に関わる酵素のひとつである。またLSD1はこのような後天的な修飾により、がん増殖に関与することが知られている。そのため、LSD1阻害剤は新しい作用機序の抗癌剤として期待されている。その中でもフェニルシクロプロピルアミン(PCPA)は、現在注目されている低分子型のLSD1阻害剤である。しかし、PCPAはフラビン依存性のモノアミン酸化酵素(MAO)の阻害剤でもあるため、LSD1選択的阻害剤の開発およびさらなる阻害活性の向上が求められている。ごく最近、京都府立医科大の鈴木らはLSD1の結晶構造を基にした合理的分子設計により、LSD1選択的阻害薬NCD38を開発した。NCD38は、LSD1選択性を発現するリシン模倣部位と阻害活性を有するPCPA部位の二つの構成要素からなる。しかし、NCD38はin vitroで高い選択性を示すものの、その阻害活性は未だ不十分であった。

一方、我々はシクロプロピルアミンにC–Hボリル化反応と続く鈴木-宮浦クロスカップリング反応を連続で行うことで、アリールシクロプロピルアミンの迅速合成に成功している[1]。開発したACPA迅速合成法により合成した種々のACPAのLSD1阻害活性評価を行った。その結果、ビフェニル基を有するシクロプロピルアミン(BCPA)が従来のPCPAより高い阻害活性を示すことが明らかとなった。さらにNCD38誘導体を合成し、細胞レベル・動物レベルで活性評価を行った。本研究は京都府立医大との共同研究である。

[1] Miyamura, S.; Araki, M.; Suzuki, T.; Yamaguchi, J.; Itami, K. Angew. Chem., Int. Ed. 2015, 54, 846.

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