強力な植物CK1阻害剤の開発

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Generation of strong casein kinase 1 inhibitor of Arabidopsis thaliana

Saito, A. N.; Matsuo, H.; Kuwata, K.; Ono, A.: Kinoshita, T.; Yamaguchi, J.; Nakamichi, N.
bioRxiv 2019
DOI 10.1101/642884

我々は既に、名古屋大学中道らのと共同研究により、植物(シロイヌナズナ)概日リズムを長周期化するPHA767491(PHA)を発見し、その標的タンパク質がCK1ファミリーであることを見いだしている。CK1は植物の生長に必須であり、植物調整剤としての活用は難しい。一方で、植物CK1の生物学的役割に関する知識は動物のCK1よりも遅れており、植物CK1研究を加速するためにはin vivoでCK1ファミリーを効率的に阻害する強力なCK1阻害剤が必要である。現在知られている植物CK1阻害剤は2種あり、その活性は満足行くものではなかった。

そこで今回、PHAををもとにして高活性な植物CK1阻害剤の創製を目指し、さらなるPHA誘導体の合成/評価を行った。その結果、非常に強力な植物CK1阻害剤AMI-331の開発に至った。AMI-331はPHAの約100倍活性が強く、これを基とした、プルダウンアッセイにおいても、CK1ファミリーにより特異的に結合する。in vitroでは現存するPF-67042と同等であるものの、in vivo (植物リズム長周期化活性)は圧倒的に高く、植物CK1に関する研究に有望である。

なお、開発したAMI-331は東京化成工業により製品化され、新規植物CK1阻害剤として上市される(AMI-331 Hydrochloride:製品番号 A3352)。

リン配位子dcyptに続いて、山口研究室2つ目の市販試薬の開発に至りました。非常に単純な構造で、少しでも化学変換すると活性がなくなってしまうPHAの誘導化には苦労しました。驚愕なのは、ピロール部位のアルキル基がメチル基はだめプロピル基はだめなのにエチル基はよいところ。ピリジンを「ねじる」という戦略で、活性が大幅に向上しました。研究を行ったのは修士2年の齊藤杏実さん。様々なテーマをかけもちしながら、4年次の配属から一貫して多数の誘導体の合成を行いました。そんな斎藤さんのこの研究に関する331番目の実験で得られた誘導体、「AMI-331」。これが名前の由来です。試薬化をすぐに行いたかったので、まだプレプリントサーバへの投稿ですが、これから論文誌に正式投稿したいと思います。ひとまずおめでとう!

山口潤一郎

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