脱ニトロ型シアノ化:独自の有機シアノ化剤の使用が鍵

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Palladium-Catalyzed Denitrative Synthesis of Aryl Nitriles from Nitroarenes and Organocyanides
Keiichiro Iizumi, Hiroki Tanaka, Kei Muto, Junichiro Yamaguchi
Org. Lett. 2024, ASAP.
DOI: 10.1021/acs.orglett.4c01118

芳香族ニトロ化合物の脱ニトロ型シアノ化反応を見いだした。近年、Pd/BrettPhos触媒が芳香族ニトロ化合物の酸化的付加に有効と見いだされて以降、触媒的脱ニトロ型カップリングが矢継ぎ早に報告されている。一方で、我々は最近毒性の低い有機シアノ化剤であるアミノアセトニトリルを用いる芳香族求電子剤のシアノ化を報告した。今回、Pd/BrettPhos触媒存在下、芳香族ニトロ化合物と本有機シアノ化剤を反応させると、脱ニトロ型シアノ化反応が進行することを見いだした。興味深いことに、有機シアノ化剤の使用が決定的に重要であり、一般的に頻用される金属シアノ化剤ではほとんど反応が進行しない。毒性の低いシアノ化剤の使用のみならず、金属塩廃棄物の排出も避けられるユニークなシアノアレーン合成法である。

結構前にまとまっていましたが、論文を書いてませんでした。しびれを切らしてD3の飯泉くんが書いてくれました。全部書き直さねばと思いましたが、意外とよくかけていて(前の論文をかなり参考にしたらしいが)サブミット。スムーズにアプセプトされました。M2の田中宏樹1報目です。この独自のシアノ化剤を使うのが肝で、これでないと(少なくともTMSCNや金属シアノ化剤では)進行しません。シアノ化剤の良いアプリケーションになったと思います。これを含めて、最新の結果を北海道の有機合成シンポジウムで飯泉くんが発表するので、興味がある方はぜひ聞いて下さい。飯泉・田中おめでとう!

山口潤一郎

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