エステルダンス反応の開発

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Matsushita, K.; Takise, R.; Muto, K.; Yamaguchi, J.
Sci. Adv. 2020, 6, eaba7614
DOI 10.1126/sciadv.aba7614

パラジウム触媒を用いた芳香族エステルの芳香環上エステル移動(エステルダンス)反応を開発した。二座ホスフィン配位子dcyptとパラジウムの触媒系を用いることが反応進行の鍵である。多様な芳香族アリールエステルに対して、芳香環上におけるエステル部位の1,2-移動が進行し、対応する構造異性体が得られる。本反応の有用性を示す一例として、エステルダンスと様々な脱カルボニル型カップリングの逐次反応を開発した。さらに、芳香環上におけるエステル部位の1,3-移動反応(二度のエステルダンス反応)に続く分子内脱カルボニル型エーテル化反応も初めて見出した。

 エステルダンス反応ようやく論文になりました!名大で博士をとった瀧瀬くんが見つけてくれた反応を、松下さんがが論文になるまでしあげてくれました。満を持して論文を投稿したのは昨年12月28日、これならScienceいけるだろ!と思って、だしましたがあえなく撃沈。フォーマットを変更するのもめんどくさかったので、姉妹誌であるScience Advances誌に転送してもらいました。査読がはじまるのに1ヶ月半、査読の結果は、めちゃくちゃ好評で問題ないかと思いきや、アクセプトがでるまで2ヶ月半。その間ほとんどなにも変わってません。その後に体裁を整えて、でるまでに2ヶ月半。合計7ヶ月近くかかり、結局松下さんは3年では博士を取れませんでした。COVID-19のせいもありましたが、査読段階でなくあまりにもエディトリアル段階が長く、撤回しようとも思いましたがなんとかでてよかったです。大学もハイインパクトジャーナル投稿を提唱するならば、博士の取得要件を考えたほうがいいですね。いずれにしても、大変満足の論文がようやく出ました!おめでとう!

山口潤一郎

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