エステルダンス/カップリング反応

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Palladium-Catalyzed Tandem Ester Dance/Decarbonylative Coupling Reactions
Kubo, M.; Inayama, N.; Ota, E.; Yamaguchi, J.
Org. Lett. 2022, ASAP
DOI: 10.1021/acs.orglett.2c01432

芳香族エステルは、求核置換反応や縮合反応をはじめとして広く変換可能な重要基礎化学品である。近年、当研究室では、芳香族エステルの新たな変換法として遷移金属触媒を用いた芳香族エステルの脱カルボニル型カップリング反応の開発を精力的に行ってきた。一方で、最近、独自のパラジウム/dcypt[3,4-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)チオフェン]触媒を用いた、芳香族エステルの芳香環上エステル移動(エステルダンス)反応を開発した。本反応ではエステルが芳香環上で1,2-移動し、対応する構造異性体を与える。

そこで、エステルダンス反応と芳香族エステルの脱カルボニル型カップリング反応を逐次的に進行させることができれば、置換芳香族化合物の新奇合成法となり得ると考えた。実際に、パラジウム/dcypt触媒存在下、芳香族エステルに様々な求核剤を作用させることで、エステルダンスと数種類の脱カルボニル型カップリングが一挙に進行することをすでに見いだした。本論文では、エステルダンスに続く1,3-アゾール類のC–Hアリール化やアニリン誘導体のアミノ化、分子内エーテル化、分子内アリール化等の逐次反応について報告する。

久保くんと、卒業生の稲山さんの合作!エステルダンス反応して、その後のカップリング反応にフォーカスした論文です。元論文(Science Advances 2020)には3例しかのせなかったので、どんなものが反応するのか試してみました。元の反応がユニークなんで、もう少し背伸びして他の雑誌も考えましたが、久保くんの学振提出間近だったので、Organic Lettersでフィニッシュしました。実は同期は久保くん合わせて3名がダンス反応開発(3者3様。全く異なる)で、全員進学なので、益々面白いダンスを踊ってくれることを期待します。おめでとう!

山口潤一郎

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