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西早稲田、違和感建築

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初めまして。B4の楢山光司です。研究室で本格的に実験を始めてから、とても忙しくなりました。読者の方々も、日常生活に追われて趣味の時間がないこともあると思います。そこで、日常の中で楽しめる趣味として、「(ほぼ)役に立たない構造物観賞」を紹介します。

この記事のアイキャッチ画像にもなっている上の写真は、西早稲田キャンパスの55号館近くの中庭にある階段を写したものです。この階段、どう見ても行き止まりで、空中で途切れているため、本来の階段の役割を果たしていません。こんな階段、なかなかありません。なぜこんな階段ができたのでしょうか。

一般に、役に立たないように見える構造物が存在する理由は、大体次の4パターンのどれかだと思われます。

理由1 実は役に立っているから。

理由2 当初は使われていたが、状況の変化で使われなくなったから。

理由3 後に使われる計画で作られたが、計画が未完了、もしくは計画が中止されたから。

理由4 実用的な目的は無いが、芸術的な観点から、わざと違和感を与えるデザインで作られたから。

この階段の場合は、延長するとちょうど55号館の2階につながりそうなので、理由3の計画中止のパターンのように見えますが、新しそうなので理由4かもしれません。

このような役に立たない構造物は、一般的には「超芸術トマソン」と呼ばれていて、以前ブームになりました(1)。語源は元大リーガーのトマソン選手ですが、インターネットでの「トマソン」の検索結果は、ほぼ超芸術トマソン関連となっています。しかし、この名称はトマソン選手をけなしている気がして好きではないので、僕は「違和感建築」などと呼んでいます。僕はこの「違和感建築」などの、日常の中の小さな違和感を楽しむことを、趣味の一つとしています。

さて、突然ですが、山口研は62号館2階にあります。部屋番号62-201の前から外を見ると、58号館が次の写真のように見えます。

ちょっとした違和感を覚えたでしょうか。写真ではわかりにくいかもしれませんが、2階と3階に2つずつドアがあります。鍵はかけられていますが、もし58号館の中からこのドアの外に出られたとしたら、行き止まりで、かつ転落の危険もあります。もちろん普通の建物にはこんなドアはないので、非常に珍しいです。しかし西早稲田キャンパスにはこのようなドアが大量にあり、この写真中に4つある他に、52, 54, 59, 60, 61号館でも見られます。まさに、「無用ドア」集中地帯です。これらのドアは、理由1か理由3のためだと思われます。具体的には、エアコンの室外機などの整備の役に立っている場合(理由1)や、他の建物につなげる通路の建設計画があったが中止になった場合(理由3)などが考えられます。

どうでしょうか。面白さが伝わっているでしょうか。伝わってない気がしますが、先に進みたいと思います。

上の写真は、65号館2階(写真奥側)につながる階段を写したものです。この階段の上に覆いかぶさるようにあるのが55号館2階(写真手前側)につながる通路(橋)です。階段の左半分は普通に使えますが、右半分は途中から橋に覆われています。その橋に覆われた部分に、本来の役割を果たせなくなった手すりがあります。階段の右側上半分の手すりは、完全に橋の構造物に隠され、人が触ることはまずありません。この手すりが使えなくなったのは、おそらく理由2に該当するでしょう。元々は階段だけがあり、この部分の手すりも普通に使われていたのでしょうが、後から橋が作られて今の姿になったと考えられます。

だんだん流れがわかってきたでしょうか。研究にも通じることかもしれませんが、少しおかしなところ、引っかかるところを探して、その理由を考え (妄想するとも言える) 、できれば調べて正解を探す、という面白さを多くの人と共有できたら嬉しいです。他にも「違和感建築」と呼べる構造物は沢山あるので、探してみてください。今回の記事はこれで終わりとします。なお、この記事に書いた違和感建築の出現理由ですが、あくまで僕の考えであり、正解かどうかは不明です。読んでいただき、ありがとうございました。

参考文献

1. Wikipedia トマソン

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楢山光司

昔は仙人。いまは研究者。

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